婦人科

診療内容

  • 不妊症相談
  • 月経痛、月経不順相談
  • 子宮癌健診
  • 更年期相談
  • 家族計画相談(ピル、避妊リング、産後の避妊手術、緊急避妊)
  • 性の悩み相談
  • 産科、婦人科手術
  • 性感染症(クラミジア、淋疾、ヘルペス、コンジローム、梅毒、HIVなど)検査・治療・骨粗鬆症相談

子宮筋腫

どんな病気?

子宮筋腫とは子宮にできる良性の腫瘍(こぶのようなしこり)のことです。
ほとんどは無症状なのですが、症状がある場合は月経期間が長くなったり、月経時の出血量が多くなったり、不正性器出血が頻繁に起きたりする他、強い月経痛が起きたりします。
月経のある女性の5人に1人に子宮筋腫が発生すると言われていますが、良性疾患であるからと、子宮筋腫を軽視するのは危険です。

筋腫ができやすいところは?

筋腫ができやすいところは?

子宮壁を構成する三つの層のうち、どの層に筋腫があるかによって、筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)、漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)、粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)に分類されます。また、子宮頸部の位置にできるものは頸部筋腫(けいぶきんしゅ)と呼びます。
半数以上の子宮筋腫は多発性(複数発生する)です。
筋腫の発生する場所は、症状と関係が深いといわれています。

筋層内筋腫 子宮の厚い筋層にできる筋腫で、最も多い種類です。
漿膜下筋腫 子宮の外側を覆う漿膜下にできる筋腫です。無症状のことが多いのですが、筋腫の茎が捻転(ねんてん)し激しい腹痛を伴う(急性腹症)こともあり、注意が必要となります。
※有茎性漿膜下筋腫:筋腫が子宮の外側にでき、まるで茎があるような状態で膨らんでいるもの。
粘膜下筋腫 子宮の内側の粘膜下にできる筋腫です。子宮内膜を筋腫が下から持ち上げている状態なので子宮内膜に影響し、
月経に関する異常(過多月経、月経遷延〈せんえん〉、過多月経による貧血、月経痛など)がおこります。
筋腫が大きくなって膣へ達することもあり、これを筋腫分娩と呼びます。
※有茎性粘膜下筋腫:粘膜下筋腫が茎を持ったもの。
頸部筋腫 子宮の頸部にこぶができる筋腫です。大部分の子宮頸部筋腫が無症状ですが、出血したり、大きくなると尿路を塞いでしまうこともあります。

主な症状は?

主な症状は?

子宮筋腫の症状でもっとも多いのは、月経の変化です。
特に量が増えます(過多月経)。月経の量が増えると、当然のこととして貧血になります。最近のめまいがするとか、階段の昇り降りで動悸がする場合は要注意です。
その他に、下腹痛、腰痛、頻尿、便秘などの症状もみられます。

治療法

子宮筋腫が見つかっても、症状が無い場合は特に治療はしません。
ただし、急激に大きくなるケースもあるので、「様子をみましょう」と言われたときは、定期検診で筋腫が大きくなったかどうか、症状が出てきたかどうか定期的に先生に診てもらいましょう。尚、貧血や過多月経などで日常生活に支障がある場合は治療したほうがよいでしょう。
治療が必要と判断された場合は、薬物療法と手術療法があります。下記のような項目が筋腫の治療方針に影響するといわれていますので、医師と一緒に相談しながら治療方針を決めましょう。

  • 症状(もしあれば)
  • 妊娠・出産の希望
  • 子宮筋腫の大きさと位置
  • 年齢など

薬による治療では、半年間月経を完全に止めてしまう偽閉経療法があります。
軽い月経痛の場合は鎮痛剤で痛みを和らげます。手術で筋腫を取り除く治療法を受けると、過多月経などの症状はなくなります。
また、過多月経がひどくなりがちな粘膜下筋腫は、子宮の内側にあるので、お腹を切らず、膣からの手術で摘出できることもあります。
開腹手術や腹腔鏡で、筋腫のみを取り除き、子宮を残す方法もあります。

子宮内膜症

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来は子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜が、子宮以外の場所(卵巣、腹膜など)で増殖、剥離(はくり)を繰り返す病気です。
子宮の内側からはがれ落ちた子宮内膜は、月経血として腟から体の外に流れ出ていきますが、子宮以外の場所で増殖した子宮内膜は腹腔内にとどまり、炎症や痛み、癒着(ゆちゃく)などを起こします。

子宮内膜症ができやすいところは?

子宮内膜症ができやすいところは?

子宮内膜症ができやすい場所は、腹膜、卵巣、子宮と直腸の間のくぼみ(ダグラス窩)です。
卵巣にできたものを卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)とよびます。
ごくまれに、肺など遠く離れた臓器にできる場合もありますが、骨盤内にできるケースがほとんどです。

主な症状は?

主な症状は?

代表的なものは月経痛で子宮内膜症の患者さんの約9割にみられます。
この他、月経時以外にも腰痛や下腹痛、排便痛、性交痛などがみられます。
子宮内膜症は卵巣機能が活発な20~30歳代の女性に多く発症し、閉経による女性ホルモン分泌の減少を境にこうした症状はおさまります。

治療法

薬物療法と手術療法、あるいは併用療法があります。
治療法を考える際、症状や進行具合はもちろん、患者さんの年齢、妊娠を希望されるかどうかなどを総合的に判断し、最適な治療法が使い分けられます

子宮頸がん

どんな病気?

どんな病気?

子宮の入り口付近の子宮頸部にできるがんです。
セックスによるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因として有力視されており、若い女性の間で増えています。統計的に喫煙者に多いことがわかっています。
初期には自覚症状がほとんどありませんが、セックスのあと出血することがあります。進行すると、不正出血や、おりもの増加、おりものに血が混じる、悪臭を伴うおりものがでるなどの症状が現れます。
さらに進行してがんの範囲が広がると、下腹部痛、腰痛、排尿痛、下痢、血便、血尿などが現れます。

検査・診断について

初期には自覚症状がほとんどないため、定期検診が早期発見の重要な決め手。
セックス経験者は誰でもかかる可能性があるので、年に一度くらいのペースで検診を受ける習慣をつけましょう。
早期発見のために有効な検査は、細胞診(パップスメア)といい、内診台で膣から柄の長い綿棒やヘラ、ブラシなどを挿入して、子宮頸部の内側をこすり、細胞をとって顕微鏡で調べます。痛みもなく、ほんの数分で終わる簡単な検査です。

治療法

治療法は、がんの進行期によって異なります。

円錐切除術(0期、Iaの1期)

この段階で早期発見されれば、子宮と卵巣を残し、子宮頸部の一部を切除するだけで完治します。
手術後の妊娠、出産も可能。円錐切除術は、ループ状のワイヤーを患部にかけて電流を流し、頸部の組織を円錐状に切り取る方法で、20分程度で終わる手術です。

単純子宮全摘出術(0期、Iaの1期で、がんの位置が悪い場合や大きな子宮筋腫を合併して子宮を残すのが難しい場合)

早期発見でも、がんの位置が中心から離れていて円錐切除ではとり切れないケースや、大きな子宮筋腫を合併していて子宮を残すのが困難な場合には、「単純子宮全摘術」で子宮だけを切除します。
閉経前なら卵巣を残すことが多くなっています。月経はなくなりますが、女性ホルモンは手術前と同様に分泌されるため、手術後に急激な更年期障害で苦しむことがありません。

広汎子宮全摘出術(Iaの2期、Ib期、II期)

さらにがんが進行すると、子宮、卵巣を全摘出した上、子宮頸部を中心に、周囲の組織やリンパ節まで切除する「広汎子宮全摘術」を行います。
手術後には、排尿障害、排便障害、脚のむくみ、更年期障害などさまざまな後遺症が出ることがあります。

放射線、化学療法(III、IV期)

ここまでがんが進行すると、手術で取り除くことは不可能になり、放射線と化学療法(抗がん剤)での治療となります。
放射線療法は、手術後の再発予防、再発、転移した場合の治療にも使われます。また、化学療法を行って、がんの範囲を縮小させてから手術を行う方法も普及しつつあります。
放射線の照射中には、吐き気や食欲不振が、照射後には膀胱や直腸からの出血が起こりがち。
卵巣に負担がかかり、ホルモンバランスが崩れて更年期障害のような状態になることもあります。
また、皮膚の表面が軽いやけどをしたような状態になりますが、時間の経過とともに元に戻ります。
化学療法の副作用として、嘔吐や脱毛が起こりますが、治療が終われば、毛髪は再び生えてきます。

更年期のホルモン補充療法

トラブルを抱えやすい年代

女性の一生には、思春期、妊娠、出産、閉経といったいくつかの重要な節目があります。
更年期は、個人差はありますが、一般的には閉経をはさんだ45~55歳の約10年間をさしています。

現在、日本の女性の平均寿命は86.05歳(2008年)と86歳を超えました。閉経の年齢が約50歳ですから、閉経後の人生は30年以上もあり、更年期は女性の人生の折り返し点といってよいでしょう。

更年期には、ホルモンの分泌が急激に変化するので、心身にさまざまな症状が現れます。
さらにこの年代は、子どもが成長する一方で老親の介護が心配になり、社会的にも責任ある立場にあることが多く、身の回りにストレスを抱えやすい時期です。

更年期は、同時に女性の円熟期でもあります。女性がこれまでの経験によって人間として磨かれ、自信に満ちた年代ともいえます。
更年期を上手に乗り切れば、次に迎える老年期はきっと実り豊かなものになるにちがいありません。
それを支援する手段のひとつが、更年期障害を抑えるためのホルモン補充療法(hormone replacement therapy)、略して「HRT(エイチアールティー)」と呼ばれる治療法です。

主な症状

主な症状

更年期症状は人によっていろいろです。

更年期に現れる症状は多彩で、抱えている症状の種類や程度は人によってさまざまです。

更年期のサインは、ほてりや発汗、動悸(心臓の鼓動が自分で感じられるくらい強い)、頻脈(脈が速くうつ)、冷え症などの血管運動神経症状があります。また、不安やイライラ、睡眠障害などの精神神経症状も現れます。

そういった症状の他に、頭重感、頭痛、疲労感、うつ状態、手足のしびれ、肩こり、腰痛、眼精疲労、ドライアイ、ドライマウス、耳鳴り、めまい、乾燥肌、粘膜の乾燥・萎縮なども更年期の症状です。

更年期の症状は人によって異なるため、これといって特定できる症状はなく、また、症状が一定して現れない場合もありますし、同時に複数の症状を抱えることが多いのも、更年期の特徴です。更年期障害かなと思ったらまず婦人科へ

治療法

治療法

更年期障害のもっとも効果的な治療とされるのが、十分に話を聞いてもらうことと、ホルモン補充療法(HRT)です。
とくに、のぼせや多汗などの血管運動神経症状には、HRTがとても効果があります。また、HRTには閉経後にかかりやすい骨粗鬆症の予防効果も知られています。

HRTの次によく行われているのが、漢方療法です。
漢方とは、東洋医学独特の診察方法で、体質や臓器の機能などを診断し、その人に適した漢方薬を処方します。
HRTに比べ、漢方薬の効き目はゆるやかで、1~2ヶ月くらいたたないと効果は現れませんが、冷え、多汗、節々の痛みなどを楽にしてくれます。
また、精神症状には漢方薬が比較的よく効きます。もちろん、HRTとの併用療法もできます。よく使われる漢方薬には、加味逍遙散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などがあります。

神経に働きかける抗不安薬、抗うつ薬、自律神経調整薬などがHRTと併用されることがあります。
この他、ビタミンをはじめとするサプリメントも症状の改善に役立つことが認められています。また、精神的な問題にはカウンセリングも勧められます。
ホルモン補充療法(HRT)を受けられる人、受けられない人
ホルモン補充療法(HRT)は、(1)血液検査でエストロゲンの濃度が低く、(2)そのため症状が現れていて、(3)HRTを行っても悪影響が少なく、(4)HRTで症状の改善が期待できる人なら、希望すれば年齢に関係なく誰でも受けられます。
HRTを開始する際には、問診やいくつかの検査が必要です。また、HRTを続けている間は、定期検診をしなければなりません。
次のような人は、エストロゲンが悪影響をおよぼす可能性が高いので、HRTを受けられません。

乳がんや子宮体がん、静脈血栓や塞栓症は、エストロゲンによって悪化することがわかっています。たとえ治っていても再発の恐れがあり、これらの病気にかかったことのある人は、基本的にはHRTを受けられません。

次のような人は、受けるときは医師の管理の下、細やかな注意が必要です。

子宮筋腫、子宮内膜症などはエストロゲンの影響を受けても、がんのように直接生命にかかわらない病気ですが、医師の管理下で十分に注意してHRTを受けなければなりません。
肝臓病、腎不全、心不全、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、高齢者、喫煙者、重度の肥満の人も、十分な医師の管理が必要です。

性感染症

クラミジア感染症とは?

クラミジア感染症とは、“クラミジア・トラコマティス”という微生物(細菌)が主に性行為によって感染(性器⇔性器。性器⇔咽頭など)する性感染症の1つです。
初期には自覚症状がないか非常に軽いため、知らないうちに病気が進行してしまったり、感染に気づかずに性交することで、パートナーを感染させてしまいます。
このため、クラミジア感染症は近年急増しており、男女ともに最も多い性感染症となっています。

主な症状

男性の50%、女性の80%に症状が現れないといわれています。

男性の症状:尿道からの分泌物、排尿時の痛み、尿道のかゆみや不快感、精巣上体の腫れ、発熱など
女性の症状:おりものの増加、不正出血、下腹部の痛み、成功時の痛みなど

感染経路と注意点

感染経路と注意点

治療しないで放置しておくと不妊症や母子感染に

クラミジア感染症を放置しておくと、男性では尿道炎から、精巣上体炎(副睾丸炎)になることがあります。
女性では感染がお腹の中に広がり、子宮頸管炎から卵管炎をおこし、不妊症にまで発展することがあり、
妊娠後も、子宮外妊娠や流産・早産の危険性がともないます。
また、出産時に感染していると、赤ちゃんが結膜炎や肺炎になる可能性があります。
さらに、クラミジアに感染していると、HIV(エイズ)や淋菌など他の性感染症にかかりやすくなるといわれています。
このため、クラミジア感染症に対しては、早期発見、早期治療が大切となるのです。

パートナーも必ず検査・治療を受けましょう

クラミジア感染症と診断された場合には、パートナーも検査を受ける必要があります。
あなたが治療を受けても、パートナーが未治療であれば、感染を繰り返すことになりますので、パートナーも一緒に治療をしなければなりません。
また、オーラルセックスなどにより咽頭(のど)にクラミジアが感染することがあります。
無症状であっても感染の有無を確認した方が良い場合があります。
※妊娠女性の約5~7%にクラミジアが見つかるといわれています。

検査・治療について

検査・治療について

検査は簡単です

クラミジアに感染しているかどうかは、女性では子宮頸管の分泌物を採取したり、おなかの中に感染が広がっていないか調べるために、内診を行います。

尚、クラミジア感染に対する治療を行った後にも、治療が成功したか確認するために、再検査が行われます。

医師の指示に従って治療のステップをきちんと踏めば治療できます。

治療中・治療後の注意

治療中
  • 医師や薬剤師の指示に従い、きちんとお薬を服用しましょう
  • 医師の指示通り来院しましょう
  • パートナーも検査・治療を受けましょう
  • 治療が終了するまでは、性交は控えましょう
治療後
  • 不特定多数のパートナーとの性交を避けましょう
  • 感染予防のために、コンドームを正しく使用しましょう